『きみにしか聞こえない』

乙一の『きみにしか聞こえない』を読み終わりました。きみにしか聞こえない―CALLING YOU (角川スニーカー文庫)
すっかり嵌っています。
が、しばらく読むのを控えようと思いました。
私の読書時間は通勤時の電車の中なんですけど
乙一の小説って、胸を衝かれて、涙出るのを堪えないといけなくなるから。
(胸が震えて、いっぺんに沢山は読めないから。)


『Calling you』
 携帯電話を持っていない女の子が、
 頭の中でこんな携帯電話がいいと想像を膨らますうちに
 その携帯電話が頭の中にしっかりと存在して
 知らない誰かと電話が繋がってしまうという話。


 最初は、ソレってかなり怖くない!?
 って引き気味で読んでいたんですが。


 繋がってしまったのはテレパシー?
 淋しくて淋しくて、同じ淋しさを抱えた人に繋がってしまったの?
 繊細すぎたり、何かが欠落していると、
 第六感が発達してしまうということ?
 色々考えながら、読み進んでいって、
 最終的にはそんな事 どうだって良くなってしまうくらい、
 話にグイグイ引き込まれて泣いてしまいました。
 (タイムマシン物であれば、よくある話なのかもしれないけど、泣けました。)


『傷 KIZ/KIDS』
 この話も割りと最初の方から、ずっとうるうるしちゃって。
 あらすじも感想も書けません。
 何も言わずに読んでくださいって感じです。
 この話の少年達が、世界のどこかで
 もう傷つかずに、幸せに笑って暮らしていたらいいなぁと思います。


『華歌』
 この話は、ズルイですね。
 まんまと騙されて読んでいましたので
 クライマックスの感動すべき所で「ええーっ!」と
 驚きの方が強くて、何処で騙されたんだろうと
 そっちが気になって、1回目は素直に感動できませんでした。
 すぐにもう一度読み直したんだけど、
 本当にズルイと言うか、アザトイというか
 騙されずに読む人は居ないんじゃないですかね?


 でも、この文章がとっても好きでした。
 ”私たちは皆、そうなのだ。同じような格好で生きている。
 一方には白い地平が広がり、もう片方には暗闇の地平が広がっている。
 その境界線の上を、危なげに歩いているのだ。”