「ウェディングマーチ」

ウェディングマーチ

音速かたつむりさんの「ウェディングマーチ」を見ました。 
 
ザムザ阿佐ヶ谷に初めて行ったのですが 
なかなかいい空間で、音速さんはこの劇場の特徴をそのまま 
上手く使ったなと思いました。 
つまり、内装や床の木造で、おそらく他の芝居だと 
暗幕やら壁などを立ててしまうところを 
そのまま古めかしい木の温もりを大切にした 
こじんまりとした由緒ある結婚式場の親族控え室というのが 
出来あがっていたんです。 
 
先の展開が大体読めてしまうんですが 
音速さんの人情話には、どうしても心が動かされてしまいます。 
 
50過ぎて再婚する父親とその子供のお話で 
長女の二三子は1年前にガンを克服したばかり 
父親の再婚話に物凄くノリ気で結婚式を挙げる様に進めたのも彼女。 
でも、結婚式当日午前中は兄と一緒に病院に行っている。 
その事実を隠そうとする二三子。 
また二三子のいとこになる克美の同級生が 
その結婚式場のオーナーの息子で、何か言いたそうな仕草に 
周りは勝手に二三子の彼氏で、結婚話ではないかと勘違いしていく。 
二三子が病院へ行った事が明かになってしまうと 
ガンの再発ではなく、オメデタで産婦人科へ行ったという話になって 
ますます混乱していく…というストーリー。 
 
私はね、兄弟のチームワークが好きだったの。 
兄と姉が「オメデタ」という嘘を一生懸命付いている時に 
すぐに一緒になって「お兄ちゃんが嘘を付くときは、 
こういう(小指で耳を掻く)仕草をするから、嘘じゃないよ」と 
明るく話を合わせる妹が好きだったんだ。 
何にも言わなくても、父の結婚式にしめっぽい話にならないように 
察して、上手く話を合わせられる兄弟っていうのがね。 
 
ところが、妹の旦那が後からまた嘘を付いている事を知って 
「やっぱり嘘は良くないよ」って皆の前でバラすのにムカつきました。 
(そうしないと話しが盛り上がらないのは解るんだけどサ) 
嘘は良くないよ。 
でも、嘘も方便だと思うし、優しい嘘は好きだよ。 
父の結婚式だけは、優しい嘘をついたままでいいじゃないか。 
バカ和実!! 
叔父さんも急に「ホントの事を言え!」とか怒鳴り出しちゃってさ。 
優しくないなぁ…。 
(いや、芝居の流れ的に仕方ない役割だったのは解るんだけどさ) 
こんな男とは結婚しないって私は思ってしまいました(^^ゞ 
 
山口恵さん扮する二三子の涙は綺麗でした。 
叔母さん役の勝村美紀さんもよかった。 
調子のいい家柳如さんの幸一君も、 
喜怒哀楽激しい叔父さん、竹内剛史さんも 
涙もろい可愛いお父さん、青木十三雄さんも、好きでした。 
 
でも、いっぱい突っ込めるストーリーはちょっと…。 
SFとかファンタジーとか、始めから大嘘・ありえない話であれば 
気にしないんだけど、現代の人情話を描こうとしている音速さんの作品だと 
ついつい、もっとリアリティを追求してくれよって 
思ってしまうんですよね。 
 
今回は、まず再婚相手が出てこなかった事。 
出てこなくてもいいけど、その息子が新夫側の控え室に入り浸りな事。 
式に遅刻して来たり、パジャマで記念撮影したり 
披露宴をすっぽかして、風呂に入っていたり 
かなりトンでもない話なんですよね〜〜。 
新婦側の招待客だったら、私この結婚、大反対だね。