「寸聞多羅の夢」

寸聞多羅の夢

劇団SEINさんの「寸聞多羅の夢」を見ました。 
 
ストーリーの舞台は、運に見放された者が集まる運つかみ旅館。 
そこで宿泊中に”座敷童子”を見た者はその後の人生で成功する 
と言われている。 
つくづく運に見放されていた主人公は、 
たまたま出会った女性記者に無理矢理頼まれて 
その旅館での噂を確かめるべく、体験取材に送りこまれるのだった。 
しかし、女性記者の本当の目的は、その旅館の周辺で起こっている 
失踪事件の真相を探るもので、彼女の兄も失踪していたのだった。 
調べていくうちに判る、その旅館の持ち主の哀しい恋物語。 
そして、彼女が一番望んでいたものとは…。 
 
ロマンチック・ホラーと銘打ったSEINさんの3作目。 
1作目の「孤哀子」が大好きだったもので、 
ちょっと物足りなく思いました。 
なんていうか、ホラーとして怖がらせる部分が 
音と照明に頼り過ぎに思えたんですよ。 
怖くて哀しいお話を期待していたので 
あんまりホラーじゃなかったですよね!? 
なんか明るい旅館の人々のお陰でホラーの印象が薄かったというか…。 
運に見放された人々が明るいのは、絶望の裏返しって事で 
悪くはないんですけど、残念ながら座敷童子の噂を本気で信じたくなる程 
運に見放されていたり、絶望していたりってカンジがしませんでした。 
(主人公も含め) 
いきなり自分の不運を語られても「ああ、そう」と流してしまえるくらい軽い。 
あ、本当に絶望していたら、噂を信じるどころか死んでいると思うから 
まだ希望を追っている人々であるのは承知しています。でもね…。 
 
だから、自信に溢れているヒロインの女性記者のことを皆が 
「私達の事を見下して」っていうように言う部分でも 
今ひとつ突然言いだしているようで、そう言って嫌うにはエピソードが 
足らないし、共感出来なかったんですよ。 
 
怖くて哀しい話にするのであれば、 
アサミさんと旅館の番頭サン(?)と小説家先生(?) 
(すいません。もう、うろ覚え…) 
の三角関係を中心に描いてくれれば良かったんだけど 
最期に暴露して終わりってカンジで、あっけなかったというか…。 
この三人を中心にやっちゃうと「孤哀子」の二番煎じになりそうなカンジも 
かな〜りあるけれど、 
個人的にはアサミさんの想いや番頭さんの想いに感情移入して 
泣きたかったなあ、、、 
 
そうクライマックスで、1シーンを分断してしまうのは 
演出としてはありなんだけど、 
あの短いシーンを3分割しなくても…と思いました。 
涙壁の前で、小説家先生と番頭さんが対じするシーンね。 
湯澤さんの「間長かったけど、さっきの続きです」に笑っちゃったけど 
2回目の「ザッピング方式です」には笑えなかった…。 
なんかね。集中が途切れた。 
クライマックスのぐんぐん盛り上がっていくべき所で 
私の中では盛り下がってしまったのよ(T^T) 
 
舞台もなぁ、雰囲気はいいんだけど、あの階段は役者さんも怖いだろうに。 
見ているこっちも怖かったたし、旅館が入り組んでいる事を見せる為に 
旅館に訪れたシーンで、何回も登ったり降りたりを見せられるのも 
ちょっと疲れたかも…。あと演出の都合上で部屋の出入り口が 
固定されていないのも、混乱させられましたね。 
脚本と劇場と大道具の関係って難しい。 
 
去年の夏のダンスシーンは見てないんですが… 
今回のダンスシーンは、場所が狭くてですね。 
中央に段差もあったものだから、余計に踊りにくそうにも見えて 
ホラーにダンスは、そんなに必要ないよね。。。と思いました。 
全体的に辛口でゴメンナサイ。 
 
だけど、私は多分作家渡月憧さんが好きだし 
役者では湯沢さんとたざわかよこさんがお気に入りです。