「非常怪談」

非常怪談

またまた、お手紙形式で書いていいですか?
(観た事無い方は、思いっきりネタバレしているので要注意です)
本日初日を見てまいりました。
残念ながら、Kさんの予想は外れました。
桑名(一色)しのぶさんも荘加真美さんも同じ役を演じていらっしゃいました。
なので、恋沼家長女がアセチレン・ラブの村松さんだったんですよ。
芝居の設定では、しのぶさん演じる佐衣理より、長女のほうが年上じゃないですか!
とても見えない…。
村松さんの喪服のデザインと髪型(おろしている)が子供っぽく、高校生くらいに見えるんですよ。
(途中の喪服じゃない姿の時に、髪を纏めて居たんですが、そっちの髪型の方が良かったな)
厳しく言わせて貰うと、衣装も舞台美術も、ほとんどセンスを感じられなかったですね。
神棚の物の怪(?)、座敷童子、河童の衣装も。
あ、物の怪(?)さんですが、シアターグリーンの劇場付きの方でした。
(チラシにもパンフにも名前が記載されてないけど…)
役者さんもやるんですね。
というか、役者さんだったんですね!が正確な表現かとは思いますが、ビックリしました。
(なかなかいい雰囲気を醸し出していました)
そして、今回演出もされていたとの情報は先ほどチャーリーさんからメールで教えてもらいました。
「非常怪談」をどうしてもやりたかった気持ちは良く判るなぁ。
私もやっぱりこの話が一番好きだわ。
こんなに色々な要素がギュッと詰め込まれた、何から何まで上手い具合に伏線が貼られている作品はそうそう無いでしょう。
阿呆みたいに途中から、ボロボロ泣いてしまいました。


JJCの再演の時に初めて見た時は、この人は何者?とか色々考えながら見て、”お父さんが手を振るシーン”ではウルっとしましたが、最後の最後で「え?結局どういうこと?」とかなり怖い終わり方に悩んでしまったので、泣かなかったんです。
(普通、初めて見てボロボロに泣く内容の話ではないと思います)
で、2回目が他所の劇団がやった物を見て、脚本も入手していて
今回3回目で、それぞれの人物の「この時、こういう気持ちなんだ」というのが、よ〜く判っているじゃないですか。
泣いたポイントは、

  1. 長女友美の初恋話に、佐衣理が「一生許さなくていい」と言うシーン。
  2. 母親が”神様のバッチ”の話をするシーン。
  3. お父さん(ホントは物の怪)が手を振るシーン。
  4. そして何より、脚本の完成度に。

”お父さんが手を振るシーン”はその勘違いぶりに笑っているお客様も居ましたが、
(確かに可笑しいんだけど)でも、妙に泣けてくるんだよね。
このシーンひとつ取っても、はせさん、上手すぎますよ!!


でね、一緒に見に行った方が「非常怪談」ってユニークなタイトルじゃないですか。
お通夜の台所が舞台だけど、始まりは結構笑える会話のやり取りばっかりじゃないですか。
だから、怪談のシーンは予想してなくて、すっごく怖かったらしいです。
今夜寝れないかも、と思ったそうです。
JJCバージョンよりも、判りやすい怖さっていうか、あざとい演出な気も少ししましたが、
やっぱり、桑名しのぶさんの表情が凄い!とのこと。
これから見に行かれる方は、そのシーンで、桑名さんの表情が良く見える上手側の座席をお薦め致します。
ニヤリと笑う表情が本当に、それまでと一変して別人で、怖いです。
ま、私が本当に怖いと思うのは、解り易い怪談シーンよりも、冷蔵庫に保存されていた物。
いや、ソレがどうしても欲しかったので行動してしまった彼女の心、かな?
恋沼家側の心情で見ていると理解出来なくてゾーッとしますね。


でも、今回の発見(?)は「彼女は本当に娘だったのか?」という疑問に新たな解釈を思いついた事。
彼女は父親が居ない環境で育ったというのが、まず譲れない解釈なんだけど、
「恋沼さんが良くご家族の話をしていたから、一度見てみたかった」と彼女は言っているんですよね。
一緒に暮らせなかった娘に、一緒に暮らしている家族の話を父親はするだろうか?と思うんですよ。
そうすると、恋沼シロウは、彼女が娘だと思わずに話をしたということ。
彼女は、実の娘だと名乗らずに近づいて、話を聞いていた可能性と
赤の他人なんだけど、本人も劇中言っているように「父のように慕っていた」そして、かなり思い込み激しい女性で、最後のセリフに繋がった可能性もあるかと…。
どちらにしても、彼女の取った行動からは、かなり思い込みが激しいタイプだと思います。
そんな、難しい役を演じられるのは、今回のメンバーでは桑名しのぶ嬢しか居なかったんだろうな、と。
(単純に演出家が、もう一度しのぶさん演じる佐衣理が見たかっただけなのかも知れませんが)


そんな訳で、結局、荘加さんと桑名さんの芝居だったなぁ、というのが正直な感想。
初日だったので、まだちょっと危ういカンジの役者さんも居ました。
(無理やり、東京の役者に方言を使わせなくてもいいのになぁ、というのもあった)
でも、もう一回見に行くつもりです。
だって、荘加さんとしのぶさんの二人きりのシーンなんて、JJC好きの私には堪らなく嬉しいツーショットだったんですもの!
再演の「非常怪談」の時には、本当に荘加さんは”おばちゃん”だと思っていたんですよね。
今回も見事な”おばちゃん”で可愛かった。


最後に。
私、1月のお芝居では「非常怪談」をずーっとずーっと楽しみにしていまして、観終わってやっぱり超お薦めなんですよ!
ホント騙されたと思って、是非是非足を運んでみてくださいm(__)m