『さみしさの周波数』

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)
乙一さんの『さみしさの周波数』を読みました。


乙一”という作家がどうも人気があるらしい
というのはちょっと前から知っていました。
気になっていたのですが、流行に流されるようで手が出せずにいました。
しかし『さみしさの周波数』というタイトルに出逢ったら
逆らえませんでした。


読みやすくて好きですねぇ。


『未来予報 あした、晴れればいい』
せつない話特集の為に書かれた本当に”せつない”話。
毎日を大切に生きようと前向きに思う話。


手を握る泥棒の物語
ドキドキはらはらして、小説の後が気になる話。
物語に登場するアイドル女優は誰をモデルに書いたのか
とっても気になりました。
(今さっき5月末まで、内山理名主演で
 ブロードバンド映画配信されていたのを知って、
 かなりショックです。)

 
『フィルムの中の少女』
怖かった…。
主人公が話しかけている”先生”が何者か
予想してドキドキして読みました。
自分の予想が外れて嬉しかったけど、
少女が殺された背景を考えると
とっても哀しい、やるせない話。


『失われた物語』
仮通夜が終わり、本通夜までのぽっかり空いた時間に
祖母の遺体を視界のはじに読んでしまいました。
最後に会った祖母は、鼻から管を通して寝ており
誰がお見舞いに行っても、目も開けられない
耳元で大声で呼んで、体を揺さぶると「おおっ」
と返事をするだけの状態だったので
この物語は、とってもタイムリーだったと言えるでしょう。
全く体を動かせないのに生きている(死ねない)人間は
何のために生きているのでしょう。
そんな状態の人間を看病している人の気持ちはいかほどの物でしょう。
とにかく、泣きました。