『クロノス・ジョウンターの伝説』

梶尾真治さんの『クロノス・ジョウンターの伝説』を読みました。クロノス・ジョウンターの伝説 (ソノラマ文庫)
演劇集団キャラメルボックスの2005年冬公演が、昨年の北村薫さんの『スキップ』に続き、小説の舞台化ということを知り、舞台化の前に是非読んでおきたいと思ったのです。(TBSの製作でこの秋の映画公開も決定しているそうです。)

「クロノス・ジョウンター」と名付けられたタイムマシーンを巡る物語です。私が手にしたのは朝日ソノラマから出ているハードカバーで2作品が収録されていましたが、ネットで検索してみたところ、文庫版などでは番外編の作品が併せて収録されているようです。いつか、そちらの作品もいつか読んでみたいものです。

『吹原和彦の軌跡』は大切な人を守るために自分の身をかえりみず、過去へ遡るお話でキャラメルボックスの『銀河旋律』を否応なく連想してしまい、これを舞台化するのはどうだろう?また同じような話と言われるのではないかと不安になりました。ラストのブローチが変形する下りにちょっとウルッと来ましたが、ブローチは小さすぎて舞台向きではないしなぁと関係者では無いのに悩んでしまう私。

『布川輝良の軌跡』は遡った過去で運命の出会いをしてしまうお話。こちらもタイムマシーン物のありがちな設定と言えばそうなんですが、前の作品からすると登場人物も多くて、いいキャラが居るので舞台化するならこっちかなぁと思いました。それにしても「やっと追いつけた」という展開は想像していなかったので、本当に泣いてしまいました。女は強しという言葉を思い出しました。

キャラメルサポーター歴12年目(おそらく)の私としては、ここでキャスト予想なんてしてみたいと思ったのですが、今まで予想したことが無かったので思いつきません。できれば若手主体で観てみたいですね。思い切ったキャストで。布川役を畑中君、圭役を温井さんか大木さん、香山役を筒井君なんてどうでしょうね…妄想です。

私事ですが、『布川輝彦の軌跡』は加納朋子さんの『スペース』収録の『バック・スペース』を読んだ直後に読んだため、先の日記でも書いてあるとおり、自分の身の上を思い返しかなり涙腺が弱くなっていました。「やっと追いついた」という彼女の行動力に感服し、私も「戻ってきちゃった」とあの人の部屋のドアをノックしたいなぁと凄く凄く思いました。