[読書]『白蓮れんれん』

林真理子さんの『白蓮れんれん』を読み終えました。白蓮れんれん (中公文庫)
今クールのTVドラマ『anego』を楽しみに観ているので、林真理子さんの原作*1も読もうと思って出かけたのですが、無かったので代わりにどこかで聞き覚えのあった『白蓮れんれん』を手にしてしまいました。
大正10年にあった「白蓮事件」なんて、もちろん知らずに―――。


大正天皇の従姉妹に当たる女流歌人・白蓮。二度の愛の無い結婚の末に年下の男との真実の愛を貫くために出奔する。姦通罪がある時代にそれは一大ニュースだったらしい。


図らずもドラマ『anego』でドキドキしていた、年下の男との恋がこちらでも出てきて、若い女に引け目を感じる白蓮の気持ちには、いたく共感。
700通余りもの書簡を交わし、全て大切に保管されているなんて、手書きの手紙が珍しくなってきた最近の私には新鮮で感動。
でも、あんまり白蓮自身(考え&生き方)については、共感していないし、感動も薄い。
(出奔してからの苦労とか、4年経ってようやく籍を入れられたこととか…早足すぎて、何やら大変だったのだろうけれど、感情移入できず)


最後に若干うるっときてしまったのは、義妹の初枝の最期。

結婚などというものは、女にとってすべてつらく苦しいものなのです。それならば、少しでも楽な方へ行くように結婚を考えなくてはならないのですよ。

と言い含められ結婚したが、愛の無い苦労の多い結婚。そして、白蓮と同じように惚れた男が出来たようなのだが、どんなに脅されても尼にならなかった白蓮に対して、尼になり病床に伏せ「私、やっぱり負けたんやわ」と言う初枝。
何に負けたんだろう―――。
姦通罪のある時代に夫のある女が、惚れた男と一緒になるには物凄い覚悟とお互いの信頼が必要だと思う。
白蓮が出奔した時は妊娠していた。愛する男と引き離され「尼になれ」と脅される日々、お腹に居る子供を守らなければという想いが強かったのではないか、励みになったのではないかと思う。
初枝は結局子供はなさなかったのだろうか。。。小説には記載されていない。

女はいいわ。子供を生めるし、男の人から愛される。初枝さん、私はね、女でよかったとしみじみ思っているの

そう言い放つ白蓮。残酷だなぁ。。。


とにかく、現在は姦通罪は無いし、結婚相手は自分で選べるし、バツ一、バツ二もそんなに珍しくない。現代に生まれて良かったなあと思う反面、選り好みしているから「負け犬」になるんだよ、とも思うのであった。

*1:ちなみに『anego』のドラマが原作と大分違うことは確認済み。